土に帰る、ということ

 私は、生活面ではあまりしっかりしておらず、部屋もあまり綺麗ではありません。
と言っても、生活するのが少し辛い程度の汚さです。
親族からは度々「整理整頓をきちっとしなさい」と言われます。
周りの方々が見てもあまり良いものではありません。
ですが、そんなだらしない正確だからこそ、貴重な体験が出来ることもあります。

 私の部屋には小型の冷蔵庫があって、そこに好物のリンゴを幾つか入れていました。
小腹が空いたときにそこからリンゴを出して食べる、そういった生活をしておりました。
しかし、好きと言っても毎日食べる程ではありません。
そのときも約半月、リンゴを冷蔵庫内に放置しておりました。
このとき、ちゃんとリンゴを全て食べておくべきでした。
冷蔵庫なら大丈夫だろうと高を括っていたのですが、保存しておいた内の1つが少し腐ってしまったのです。

 まだ全体ではなく、ほんの1部分だけ変色しているだけ。
これならまだ大丈夫かもしれない。
そう思って、変色した箇所を避けて齧ってみました。
あの甘い味は全くせず、代わりに苦い味が口の中に広がりました。
まるで、土の様な臭いが広がったのです。

 危ないとすぐに判断し、食べるのを止めました。
が、私はこのとき「土に帰る」という言葉を思い出しました。
あれは何かの喩えではなく、本当に土に帰る(戻る、或いは同じ成分のものになる)ということだったのだろうな、と。
また同時に、自分達が今口にしているものは、大地が生み出したものなのだな、とも感じました。
食物を粗末にしてしまうことがあった私でしたが、このときから、食物のことに関してはきちんとするようになりました。

 だらしない生活をしていた自分に対する、何らかの教えだったのかもしれません。